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眼科クリニック承継ガイド|白内障手術機器・コンタクト売上の扱い

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M&A
M&Aメディカル編集部
中小企業庁認定M&A支援機関
📅 公開: 2026年6月9日🎯 医療経営者向け📚 9分で読了

眼科クリニックの承継は、高齢化社会の進展に伴う白内障手術ニーズの増加や、コンタクトレンズ・眼鏡販売といった特殊な収益構造を持つことから、他の診療科と比較して独自の論点が多く存在します。後継者問題の深刻化や、事業拡大を目指す医療法人の増加を背景に、眼科クリニックのM&Aや事業承継は活発化していますが、その成功には専門性の高い医療機器の評価、診療報酬改定への対応、そして医療法人形態に応じた適切な手続きの理解が不可欠です。本記事では、眼科クリニックの承継を検討されている理事長・院長先生や、買収を視野に入れている方々へ向けて、その具体的なポイントと注意点を詳細に解説します。

眼科クリニック承継の特殊性とM&Aのメリット

眼科医療は、日本の高齢化社会において白内障や緑内障といった加齢性疾患の患者数が増加傾向にあり、需要が安定している点が特徴です。また、近年はAIを活用した画像診断支援システムや、低侵襲手術を実現する最新鋭の医療機器の導入が進み、技術革新のスピードも速い分野と言えます。このような背景から、眼科クリニックの承継は、既存の患者基盤や経験豊富なスタッフを維持しつつ、新たな地域での医療提供体制を構築したいと考える医療法人や医師にとって魅力的な選択肢となり得ます。

M&Aによる承継の最大のメリットは、新規開業に比べて初期投資を大幅に抑えつつ、早期に安定した経営基盤を確立できる点にあります。特に眼科では、白内障手術機器、光干渉断層計(OCT)、YAGレーザー、視野計など、高額かつ専門性の高い医療機器が多数必要となります。これらの機器を一から揃える費用と時間は膨大ですが、承継であれば既存の設備を引き継ぐことで、その負担を軽減できます。また、地域の患者様からの信頼や、長年培われてきた医療機関としてのブランド力を継承できることも、経営の安定に大きく寄与するでしょう。

白内障手術機器・レーザー等の医療機器評価と承継

眼科クリニックの承継において、高額な医療機器の評価は非常に重要な要素です。白内障手術機器やレーザー治療器などは、数百万円から数千万円に及ぶものも少なくありません。これらの機器の評価にあたっては、単なる帳簿上の残存価値だけでなく、以下の点を総合的に考慮する必要があります。

  • 購入時期と償却状況: 減価償却が進んでいる機器は帳簿価額が低くなりますが、実際の市場価値とは異なる場合があります。
  • 残存耐用年数とメンテナンス履歴: 定期的なメンテナンスが実施されているか、主要部品の交換履歴があるかなどが、機器の寿命や将来的な修理費用に影響します。
  • 最新技術への対応: 医療技術の進歩は速く、数年で陳腐化する機器もあります。承継後も競争力を保てるか、新たな機器への投資が必要となるかを検討します。
  • 診療報酬改定の影響: 特定の機器を用いた検査や手術に対する診療報酬点数が、今後の改定で変更される可能性も考慮に入れる必要があります。

これらの評価は専門知識を要するため、M&Aアドバイザーや医療機器メーカーの協力を得て、公正な価値を見極めることが肝要です。また、承継後の設備投資計画も具体的に検討し、事業計画に盛り込むことが成功への鍵となります。

コンタクトレンズ・眼鏡販売事業の扱いと注意点

多くの眼科クリニックでは、診療に付随してコンタクトレンズや眼鏡の販売を行っています。この併設事業は、クリニックの重要な収益源の一つとなる一方で、承継時には法務・税務上の複雑な論点が生じることがあります。

まず、コンタクトレンズや眼鏡の販売が、医療法上の「医業」に該当するか否かという点が重要です。医師の処方箋に基づいて販売されるコンタクトレンズは、医療行為に密接に関連すると考えられますが、単なる物販としての眼鏡販売とは区別される場合があります。この区分によって、消費税の課税・非課税の取り扱い、事業税の課税対象となるか否か、さらには医療法人会計における取り扱いが変わってきます。

承継の際には、これらの販売事業を医療法人として引き継ぐのか、あるいは別法人として分離して承継するのか、といったスキームの検討が必要です。特に、コンタクトレンズ販売は高度管理医療機器等販売業の許可が必要であり、承継後もこの許可を継続できるか、新規で取得する必要があるかを確認しなければなりません。また、販売に関する顧客データや仕入れルート、在庫の評価なども、事業価値評価の重要な要素となります。

コンタクトレンズ・眼鏡販売事業の税務上の注意点

コンタクトレンズや眼鏡の販売は、その性質により消費税の取り扱いが異なる場合があります。承継時には、過去の税務処理が適切であったかを確認し、将来的なリスクを評価することが重要です。

項目 医療行為に付随する販売(例:処方箋に基づくコンタクトレンズ) 物販としての販売(例:単なる眼鏡販売)
消費税の扱い 原則として非課税(医療費の一部とみなされる場合) 課税対象(一般的な物品販売)
事業税の扱い 医業収益として非課税となる場合が多い 課税対象となる場合がある
医療法上の位置づけ 医業に密接に関連する行為 付帯事業、または別事業

※個別の状況や税務当局の判断により異なる場合があります。必ず専門家にご相談ください。

医療法人形態と承継プロセス、社員交代の要点

医療法人の承継は、その法人形態(出資持分あり、出資持分なし、基金拠出型)によって手続きが大きく異なります。眼科クリニックが個人開設であるか、医療法人であるかを確認し、適切な承継スキームを選択することが重要です。

出資持分あり医療法人:
この形態では、出資持分が相続税・贈与税の課税対象となり、その評価額が高額になるケースが多く見られます。承継時には、出資持分の譲渡や相続、贈与といった形で後継者に移転させることになりますが、その際の評価額算定や税務対策が極めて重要です。社員(理事)の交代手続きも必要となり、社員総会での承認、定款変更、所轄庁への届出・認可申請が求められます。

出資持分なし医療法人・基金拠出型医療法人:
これらの法人では、出資持分がないため、相続税や贈与税の対象となる持分の問題は生じません。承継は、主に理事長を含む役員や社員の交代を通じて行われます。基金拠出型医療法人においては、設立時に拠出された基金の返還請求権をどう扱うか、という論点が生じます。新たな社員への交代、役員変更は社員総会の決議を経て行われ、所轄庁への定款変更認可申請や役員変更届の提出が必要です。これらの手続きは複雑であり、行政書士や司法書士、M&Aアドバイザーなどの専門家の支援が不可欠です。

医療法人承継の主要プロセス(一般的な流れ)

  1. 初期相談・意向表明: 承継の目的や条件を明確化し、専門アドバイザーに相談。
  2. マッチング・候補先選定: 譲渡側と譲受側のニーズをすり合わせ、適切な相手を見つける。
  3. 基本合意締結: 譲渡価格の目安や承継条件など、主要な事項について合意する。
  4. デューデリジェンス(詳細調査): 財務、法務、税務、医療体制など多角的に調査し、リスクを洗い出す。
  5. 最終契約締結: デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な条件で契約を締結する。
  6. 医療法人社員総会・理事会承認: 社員・役員の変更や定款変更など、法人の重要事項を承認。
  7. 行政手続き・登記申請: 所轄庁への認可申請、登記変更などを実施。
  8. 引継ぎ・経営開始: 従業員や患者への説明、業務の引継ぎを行い、新体制での経営を開始。

診療報酬改定・施設基準と地域医療構想への対応

医療機関の経営を大きく左右する診療報酬改定は、眼科クリニックの承継においてもその影響を十分に考慮する必要があります。特に、白内障手術や緑内障手術、網膜硝子体手術といった主要な手術の点数、あるいは画像診断や検査の点数変動は、将来の収益性に直結します。承継を検討する際には、過去の改定トレンドを分析し、将来的な改定が事業計画に与える影響を予測することが重要です。

また、手術を行うクリニックにおいては、特定の施設基準を満たしているかどうかが、診療報酬の算定上不可欠です。承継後もこれらの施設基準を維持できるか、あるいは新たな基準を満たすための投資が必要となるかを事前に確認しなければなりません。例えば、手術室の構造、常勤医師の数、緊急時の連携体制などが施設基準に関わります。

さらに、地域医療構想の進展も眼科クリニックの将来性に影響を与えます。地域における眼科医療のニーズや、他医療機関との連携体制、病床機能分化の動向などを踏まえ、承継後のクリニックが地域医療の中でどのような役割を担っていくかを戦略的に検討することが求められます。これらの外部環境の変化を正確に把握し、柔軟に対応できる経営体制を構築することが、承継後の安定経営には不可欠です。

承継における財務・税務の重要ポイント

眼科クリニックの承継は、高額な資産が動くため、財務と税務に関する適切な知識と戦略が不可欠です。譲渡側、譲受側双方にとって、最も有利な条件で承継を成立させるためには、以下のポイントを理解しておく必要があります。

  • 事業価値評価: クリニックの事業価値をどのように評価するかは、譲渡価格交渉の基礎となります。収益還元法、DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)、類似企業比較法など、複数の評価手法を組み合わせ、客観的かつ公正な価値を算出することが一般的です。特に、将来の収益性や特殊な医療機器の価値を適切に反映させることが眼科では重要です。
  • 譲渡所得課税: 個人事業主が事業を承継する場合や、医療法人の出資持分を譲渡する場合、譲渡所得に対して課税されます。税率や特例制度の適用可否によって手取り額が大きく変動するため、税理士と連携し、最適な譲渡スキームを検討することが重要です。
  • デューデリジェンス(DD): 譲受側は、承継前にクリニックの財務状況、法務リスク、税務状況、医療機器の状態、人事体制などを詳細に調査するデューデリジェンスを実施します。これにより、潜在的なリスクや簿外債務などを特定し、承継後のトラブルを未然に防ぎます。

デューデリジェンスの主要チェックポイント(眼科クリニックの場合)

  • 過去数年間の財務諸表、損益計算書、貸借対照表の確認
  • 医療機器のリスト、購入履歴、メンテナンス記録、残存価値の評価
  • 診療報酬請求の実績、レセプト審査状況、返戻・査定の傾向
  • 医療法上の許認可、施設基準の適合状況、更新状況
  • 雇用契約、就業規則、残業代未払いなどの労務リスク
  • 不動産(賃貸借契約、固定資産税)、動産(医療機器以外)の状況
  • 患者数、患者層、競合クリニックの状況、地域医療構想への適合性
  • コンタクトレンズ・眼鏡販売事業の売上構成、仕入れ、在庫、許認可

これらの財務・税務の論点は、専門的な知識がなければ適切に対応することは困難です。税理士や公認会計士、M&Aアドバイザーといった各分野の専門家と連携し、計画的に進めることが、円滑な承継を実現するための鍵となります。

眼科クリニックの承継は、医療機器の特殊性や併設事業の複雑さ、そして医療法人特有の制度など、多岐にわたる専門知識が求められるプロセスです。成功的な承継を実現するためには、早期からの準備と、医療M&Aに精通した専門家チームのサポートが不可欠です。M&Aメディカルでは、眼科クリニックの承継に関する豊富な知見とネットワークを活かし、理事長先生や院長先生の皆様の最適な承継をサポートいたします。無料相談も承っておりますので、ご自身の状況に合わせた具体的なアドバイスをご希望の方はお気軽にお問い合わせください。


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